たったこれだけでも気持ちが鎮まる呼吸
なんだか心がザワザワして気が鎮まらない、動揺して心ここにあらず、あるいは緊張して気持ちが落ち着かない。
そんな時、対処法の1つとしての深呼吸。
もちろん私も試したことは何度となくありますが、正直、それで効果を感じた事はほぼありません。
「まぁ、やらないよりはいいか」と、儀式の様な「形だけ」の深呼吸をおこなっていました。
でもこれ、「深呼吸」に効果がないのではなく、私のやり方が間違っていたから効果を感じられなかったみたいです。
私は「深呼吸」をする時、空気をたくさん取り込む様な感じで、目一杯「吸ってー」、そして一気にフーッっと吐き出していました。
当然、「吸う」方を意識してます。
実は、これが逆。気持ちを落ち着かせたい時に効果的な「深呼吸」は、「吸う」よりも「吐く」「吐ききる」ことが重要だということでした。
実際に試してみると、今までの「深呼吸」とは違い、ユックリ息を吐いていく過程で徐々に気持ちが落ち着いてくる様な感覚。
これを数回繰り返していると、かなり落ち着きます。
座ったままでも立ったままでも「たったこれだけで?」と言うくらいに簡単です。
なぜ「吐く」ことが重要で「吐ききる」ことが気持ちを落ち着かせることに役立つのでしょうか?
それは、呼吸と脳との関係が非常に深いからだそうです。
元々、息を「吸う」時には交感神経が優位になり、「吐く」時には副交感神経が優位になる。
日々、ストレスにさらされながら日常生活を送っていると、どうしても交感神経が優位に傾きがち。
だから呼吸が浅く、速く、自分で自覚がないうちに「吸う」方が多くなっていて、息をしっかり「吐く」ということがおざなりになっている。
呼吸をすると連動して横隔膜が動きますが、この横隔膜を支配している神経が横隔神経。
この神経が横隔膜と脳をダイレクトに繋いでいるとの事。
息を吸ったり吐いたりする時に、呼吸と連動して上下に動く「横隔膜」の状態の情報を横隔神経を通じて脳に送っています。
例えば、全速力で走れば呼吸が速くなる。
すると、横隔膜も素早く上下し、横隔神経を通じて「体を動かしている」という情報が脳へ伝わる。
逆にユックリした呼吸をしていると、横隔神経を通じて「落ち着いている」という情報が脳へ伝わる。
横隔膜の動きが速くなっているよ、という横隔神経からの報告を聞いた脳が、それらを「ストレス」と感知して、コルチゾールやノルアドレナリン、アドレナリンなどのストレス物質を分泌させてしまうそうです。
長い期間、プレッシャーによるストレスで呼吸が浅く、速い状態が続くと、やがてコルチゾールやアドレナリンなどの分泌が止まり、今度は、何もヤル気がおこらない、活動的になれないなど、ストレスに対処できない状態に陥る。
いつもストレス状態だと、交感神経が優位に傾くので、無自覚のうちに呼吸も浅く、速く、横隔膜の動きも速くなりがちです。
だからこそ、横隔膜の動きが速くならない様に、あえて意図的にユックリ「吐く」「吐ききる」呼吸をして、横隔神経から脳に「落ち着いている」と伝えてもらいます。
また、緊張などで息が上がり、瞬時に呼吸を整え気持ちを落ち着かせたい時には、あえてユックリ「2回吸い、1回吐く」。
「スー、スー(吸う)」「ハー(吐く)」というのを2~3セット繰り返すと、呼吸が落ち着くと同時に、ザワザワとするような感情も収まるとの事です。
これらは、スタンフォード大学の学生のスポーツ選手達のトレーナーをされている方が書いた本に紹介されていたものです。
そういえば、MLBに行った藤波投手も「メジャーで、息を吐くことの大切さを教えてもらった」と言っていた様ですね。
昔、腹式呼吸のやり方が分からなくて、ネットで調べたら「一旦、ユックリ息を全部吐ききる。そうすれば意図して吸い込まなくても自然と空気が入ってくる」というのを参考にしたら、簡単に出来た覚えがあります。
呼吸は無意識にしているものなので、意識しないと自分の呼吸は浅いのか速いのかなんて気にしていません。
なんだか心がザワザワして気が鎮まらない、動揺して心ここにあらず、あるいは緊張して気持ちが落ち着かない・・・
そんな時の対処法の1つとして「吐く」「吐ききる」ことからしてみてはいかがでしょう。
私は効果を感じました。