なぜ健康な身体作りに食が重要なのか?(中医学の考え方)
今では食が身体に与える影響は大きいと言う考え方は当たり前の様ですが、中医学では数千年前から提言しています。検査する機械など無い時代にです。
元々、中医学(中国伝統医学)は中国古代哲学をもとに発展してきたもの。
この中国古代哲学には、宇宙に存在するものは全て「陰の気」と「陽の気」から出来ているという考え方が有ります。
この全てには人間も含まれるので、人間も「陰の気」と「陽の気」二つの気の集合体ということを言っているのです。
人間を陰と陽に分ければ「陰の気」は女。「陽の気」は男。
この「陰の気(女)」と「陽の気(男)」の交わりにより、生命が宿る。
つまり、体に先立って生まれる気です。これを先天の精(気)と呼んでます。
人間の成長・発育・生殖を担っており、両親の遺伝性を受け継いでいる精(気)。
いわゆる「生まれつき」って言われる部分です。
例えば、鼻はお父さんとソックリとか、目はお母さんとソックリとか・・・
その後、体の形が出来上がり、この世界に誕生。
誕生後に、生きているかを最初に確認するのは呼吸をしているかどうか。
生きて行く上で、酸素を取り込むことが必ず必要。
そして、もう一つ必要不可欠なのが、栄養(母乳・食)です。
食べないと生きていけませんから。
生命(先天の精)を維持していく為に、誕生した後、酸素と栄養を取り込みながら生きていくので、これを後天の精(気)と呼びます。
つまり、私達の「気」は「先天の精(気)」と「後天の精(気)」によって作られてるということ。
先天の精(気)というのは成長・発育を担う精(気)なので、どんどん成長させていくためには、絶え間なく後天の精(気)の補給が必要。
だから「生まれつき」体が弱くても、後天の精(食)をきちんと補充する事によって、丈夫な体になったと言うケースも有るのです。
実際に、私の周りでも「うちの子は、小さい頃は体が弱くて、病気ばかりしていた。何とかしようと思って、本当に食事に気を使った。おやつも全て手作りで頑張ったわ~。そのお蔭で、大きくなったら病気もせず、学校も休まず行ける様になった。」と言う話も聞きます。
人間は「気の集合体。」
「気」は生命そのもの。生命エネルギーです。
体そのものは物体ですが、体内に「気というエネルギー」が有るからこそ、生きている。体が暖かく、また、手足を動かすことが出来たり、内臓がきちんと働けるのも「気」の存在が有るから。
だから「気」が無くなるのは死を意味します。死んだら、体や内臓そのもの自体は存在してるけど、触ると冷たくなっていて、動きません。
もちろん「気」だけでは体が成り立ちません。
それ以外に必要なのは「血」と「津液(中医学の呼びで必要な水分の事。水は日本漢方の言い方)」です。
この「気」も「血」や「津液」も、作られる原料の元は飲食物。
ただし、この飲食物が胃に入っただけでは「気」「血」「津液」までには至らないのです。
簡単にいうと、口から入った飲食物が脾胃(消化器系)の働きによって身体に必要な栄養物質に変化される。
※この飲食物から変化した栄養物質が後天の精(気)の原料となる。
せっかく頑張って食べても、脾胃(消化器系)の働きが悪ければ「必要な栄養物質」に変化しません。
変化しなければ、最終的には「気」「血」「津液」にまではなりきれないのです。
「食べてるんだけど、いまひとつ効果を感じられない・・・」っていう人は原因として、脾胃(消化器系)の働きが弱い可能性も考えられます。
暴飲暴食や過激なダイエットだけでは無く、例えば、体を冷やす寒涼性の物ばかり摂る、逆に体を温める温熱性の物ばかり摂る、油っこい物ばかり摂る、甘い物の摂り過ぎ・・・いわゆる偏った食べ方などでも、脾胃(消化器系)の働きを弱らせます。
それから「気」は抵抗力(免疫力)を正常に働かせる作用を持っています。
その為「気」が不足すれば、抵抗力(免疫力)が低下するので、風邪をひきやすい、病気になりやすい、病気になっても治りにくい・・・などに繋がります。
身体を作っている「気」「血」「津液」は飲食物から摂った栄養物質から出来てる。
「気」「血」「津液」が充足し、それぞれの役割を果たせば内臓や体内組織なども正常に働く。
内臓が正常に働けば、更に「気」「血」「津液」も作られる・・・。
つまり、原料である食を疎かにすると「気」「血」「津液」が作られずに不足していく。不足すると内臓などにも栄養が行き届かず、働きが悪くなる。悪くなれば、更に「気」「血」「津液」も不足し、役割を果たせない。
これにより、内臓などにも影響出てくる・・・この繰り返しを続けていると、気付いた時には、体調悪化・・・に繋がるということ。相互関係です。
1日、普通に生活してても「気」「血」「津液」は減ります。
だから減った分は、出来るだけ、その日の内に補充してあげる。
どちらにしても「食べる」行動はするので、どうせ食べるなら、意識をして食べると違ってくると思います。
但し、あまりストイックに神経質になり過ぎるのも「食べる」ことが苦痛になり、ストレスになるので、ほどほど感も大切です。
よくTVやネットなどでも「身体に良い」食材などが取り上げられます。
その人の身体に合っていれば良い効果が得られます。
中国では「医食同源」や「薬食同源」と言う言葉が有ります。
医療で使う生薬、日常の食事で摂る食物、共に自然界で取れるもの。つまり源は同じ。日常的に食べる食材を干して乾燥させたり、蒸したりなどしたものが生薬になっているものも有ります。
結局、両方とも使い方が正しければ薬にもなるし、誤った使い方をすれば毒にもなってしまうのです。