泣くことがストレス解消に役立つ理由とは
薬膳を勉強し始めた15年位前、教えて下さっていた先生が「笑うよりも泣く方が免疫力が上がる」と仰っていました。
当時の私は、泣くという行為に無縁(泣く状況が無いのではなく、泣く事に強い抵抗感があったから)だったことと、なぜそうなのか?という部分の説明までな無かったので「そういうものなのか」と漠然と聞いていました。
それ以降も、私が「泣く」方を調べようとしなかったこともあり、目にするのは「笑うと免疫力が上がり、ストレスも軽減される」という方ばかりだった気がします。
ですが、少し前に読んだ本の一部分に「泣くこと」と「ストレス」の関係性が書いてありました。
ストレスって、結局は脳と大きく関係していますけど、「泣くこと」により脳にどのような影響を与えるのか?という内容です。
例えば泣ける映像を見ている時、人は間違いなく「泣き出す数秒前に、前頭前野の血流が激しく増加する」ことが明らかになっているそうです。
この前頭前野の働きは何?というと
◎考える
◎感情をコントロールする
◎状況にあわせて判断する
◎集中する
◎ヤル気をだす
◎集中する
だから、前頭前野の血流が低下すると、倦怠感や意欲・集中力の低下を招き、うつ傾向になってしまう。
通常なら、怒りを誘発する刺激を受けても、数秒でその情動を抑えるためのブレーキが作動するから「キレる」までには至らない。その機能を前頭前野が担っている。
前頭前野が上手く働かなければブレーキが作動しないので、キレてばかりいるという状態になるということです。
また、映像を見ている時、見ている最中は、覚醒状態なので交感神経が優位になっているが、途中で泣き始めると、副交感神経が優位に切り替わる。
心拍数の減少もみられるし、人によっては消化機能も高まり、空腹を感じる人や眠くなる人もいる。
言われてみれば、私も泣いた後、みょうに眠くなった経験があります。単に泣き疲れただけかと思っていました。
人が泣く時のコルチゾール(ストレスホルモン)を測定してみると、コルチゾールが抑制されていることも確認されています。
人は覚醒状態であっても、泣くと、癒しの心と体に切り替わってしまうのです。
ただ、泣けば何でもいいのか?と言うとそうではなく、目にゴミが入った時に出る涙や、玉ねぎを切った時に出る涙とは違います。
涙の成分そのものが違う。
目にゴミが入った時や玉ねぎで流す涙の成分は、ほぼ水。
でも感情的な涙にはストレスホルモンが多く含まれているそうです。
だから感情的に涙を流して泣くと、ストレスホルモンも一緒に外に出ていくため、ストレス減少に繋がる。
泣ける映像を見ている分には、その映像に対してのストレスは無いので、ある意味気楽な精神状態です。
でもそれ以外で「泣く」という時は、悲しさや悔しさなどの原因があって泣けるわけです。
出来ればそんなことは避けて通りたいし、泣ける様なシチュエーションには出会いたくないですよね。
それでも現実社会では、残念ながらその様な場面は数多く訪れてしまいます。
あまりにも頻繁に泣き過ぎるとか、日常生活に支障が出るほど泣いてばかりいるのは問題ですが、そうじゃなければ、ストレス社会では泣くことも大切だと思えます。
著書の方自身の印象でも「笑うよりも泣く方がスッキリ感が強く、長続きする」と感じているとのことです。
私は昔、7年間くらい働いていた会社で泣きたいと思うことはしょっちゅうでしたが、絶対に人前では泣かないと頑張っていました。かなり精神的にハードな職場で、泣かない人はいませんでした。でも、どうしても堪えきれなくて1回だけ泣いてしまったことがあります。
一気に堪えていたものが全部あふれ出たので、なかなか涙が止まりません。
ですが、泣き終わった後は、やはりスッキリしたというか肩の荷が降りたというか・・・張りつめていたものが解き放たれた様な解放感だったのを思い出しました。
泣くとストレスが解消するように人間の脳は出来ているということなんですよね。